再審法改正をめざす市民の会

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    大崎事件再審を取り消した最高裁決定は、

    司法の正義への真っ向からの裏切りである。

     

    2019年6月26日 再審法改正をめざす市民の会

    緊急声明

     最高裁判所第一小法廷(小池裕裁判長)は、6月25日付で、大崎事件第3次再審請求特別抗告審において、再審開始を認めた原決定(福岡高裁宮崎支部)および原々決定(鹿児島地裁)を取り消した上、自ら再審請求を棄却する決定をした。

     大崎事件再審請求は、事件発生から40年にわたって一貫して無実の主張を貫いている原口アヤ子さん(92歳)が、3度も再審開始の決定を受けながら、検察の執拗な抗告繰り返しによる再審妨害を乗り越え、最高裁の正義と良心を信頼しつつ最後の救済を求めていたものである。

     「本件抗告の趣意は、判例違反をいう点を含め、実質は単なる法令違反、事実誤認の主張であって、刑訴法433条の抗告理由に当たらない」

     決定は冒頭こう述べている。であれば、抗告を棄却するのが常道であり、未解明の点が残ったとすれば、原審に差戻すか、再審公判にゆだねればすむことである。しかし、同決定は「所論に鑑み、職権をもって調査する」として、一転奇怪な論旨へと変貌する。

     すなわち、原決定が刑訴法435条6号の新規明白性を認めた吉田鑑定に難癖をつけ、遺体の腐敗が著しく、また写真のみによる鑑定であることから、吉田鑑定の証明力には限界があり、他の新旧証拠と総合評価しても、確定判決に合理的疑いを生じさせるにはいたらないというのである。

     しかし、そもそも腐敗による遺体の損傷がはなはだしく、死因等の解明に一定の限界があったのは、実際の司法解剖にもとづく城旧鑑定も同様であり、「他に著しい所見を認めないので、窒息死を推定するしかない」というものにすぎない。しかも、第1次再審請求時に、補充鑑定書(城新鑑定)によって、絞殺を示す所見はなく、共犯者の自白とは矛盾する旨の訂正がなされている。

     法医学に素人の裁判官が、その高い見識を最高裁自身が認めている吉田証人に対して、説明や反論の機会さえ与えず、差し戻しではなく自判したことも、驕慢と軽率のそしりを免れない。又、再審にも「疑わしきは被告人の利益に」の鉄則が適用されるとの白鳥・財田川決定の先例を無視するに等しい上に、「明白性」の判断方法を軌道修正せんとする意図すら感じる。

     検察の特別抗告申立てから1年3ヶ月にもわたり、病床で再審を待ちわびる原口さんの願いに冷たい沈黙で答えてきた最高裁は、そのあげくに一片の決定書で彼女の人生で最後の切実な願いを踏みにじった。裁判に対する素朴な信頼を真っ向から裏切り、司法そのものへの不信感を醸成しているのは、最高裁自身といわざるを得ない。

     これが、下級審に対し、再審を必要以上にためらわせる抑圧となることが危惧される。また検察に対しても「理由があろうとなかろうと抗告を繰り返せば最高裁が助け舟を出してくる」との誤ったメッセージを与えかねない。そのとき、危機に瀕するのが「無辜のすみやかな救済」という再審の根幹の理念にほかならない。

     「再審法改正をめざす市民の会」は、無辜の救済を真に実現する再審制度の確立、なかんずく検察官による不服申立ての禁止の切実さをあらためて訴え、ともに再審法の改正を推し進めることを訴えるものである。

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